EMBA学習日記【03】

2021年5月14日(金)
  • 第3日目

〜1時限目〜 赤岩茂先生の「道徳と経営」

赤岩先生は、公認会計士・税理士で、税理士法人報徳事務所にて代表社員・理事をされています。先生は、人や社会に資するための経営のあり方を、儒教や老子思想、仏教、古今の経営思想を引用しつつ示されていました。

『経営とは、企業にかかわる全ての人々を幸福に導く営みである。したがって、経営者は、どうすれば人間が「幸福」になれるのか、その判断基準を持つべきである。しかし、多くの経営学の書を読んだが、人の幸福実現を指針とする「経営のあり方」を示す書は少ない。「あり方」は普遍の哲学や道徳の中にある』

『企業は倒れやすいもので、永続するためには、社会的信用、社会に支持されることと、社員の支持と高いレベルの技術・技能が必要である。両方を実現するためには、人間性に立脚した経営の「あり方」を深めることが重要』

加えて、その現代版ともいえる坂本経営学を学ぶ意義を強調されていました。

また、江戸商家の家訓の例を引きながら、次のようにも語られていました。

『倒産の真の原因は、理念不足にある。経営者は、自己の責任で決断し、己を律し、行動し、財を蓄えて不時に備えなければ、企業は瞬時に倒産する』

一方で、専門家として多くの企業をみてきた経験や「TKC経営指標」などのデータをもとに、利益の出し方・還元の仕方など、経営の重要事項への考え方も論説され、実践にも配慮された大変有意義な内容でした。

 


 

〜2時限目〜 二宮生憲先生の「五方良し経営の実践」

二宮先生は、株式会社さくら住宅の創業者・現会長です。講義では「五方良し経営」の実際を具体的に話されました。

社員とその家族を一番に 財務は月次ですべて公開  飛び込み営業や無理な契約ノルマは与えない  社員同士の競争はしない 家族対処を含めた福利厚生の充実  協力業者等も大事なパートナーとして大切にすること  顧客にはスピードと高品質なサービスで会社のファン・株主になってもらっていること

──等々、それぞれに例をあげながら『五方良し』を体現する経営の実際を幅広く話されました。

その結果、コロナ禍にあって、仕事は減少しても社員の賃金を下げることなく黒字を確保したとのこと。さらに、たとえこの先数年まったく仕事がなくなったとしてもリストラせずに済むほどの財務状況を確立しているそうです。経営のあり方を踏まえた、数々の事業の発展の仕組みについても、具体的に語られていました。

また、建設業の深刻な人手不足の最大の原因は賃金の低さにあるとして、「職人が社会的に正当に評価される必要がある」と指摘。同時に、リフォーム工事業界の中には「悪徳業者」も存在し、社会的評価を自ら下げていると危惧を語られていました。

先生ご自身では、みずから手本となるような企業運営を行うだけでなく、一般社団法人全国リフォーム合同会議を設立して、経営者が人間的に成長できる場を提供するなど、業界の発展を願って活動しているとのことでした。

物事の細部まで、ご自身の考えを深めておられることがよく理解でき、学ぶことの多い貴重な講義でした。

講義では、参考図書2冊が配布されました。当日の講師:赤岩茂先生『進化の時代を乗り切るための人生と経営の道標』(ラグーナ出版)そして6月の講師予定者:「強くて愛される会社研究所」代表理事を務める西浦道明氏『高収益企業の”池クジラ”戦略。』(ビジネス社)でした。

コメント

PAGE TOP