ブレイス東京の就業規則

就業規則は「会社の未来図」

会社を運営していく中で、「こんなはずじゃなかった…」 と思うようなトラブルが起こることは珍しくありません。従業員との認識のズレ、職場のルールが曖昧なことによる混乱、問題が起きたときの対応の難しさ——。そうしたリスクを未然に防ぎ、会社と従業員がともに安心して働ける環境をつくるために、就業規則は欠かせないものです。
「うちはまだ小さな会社だから、就業規則は必要ない」 と思われるかもしれません。しかし、会社が成長するにつれ、働く人も増え、価値観の違いが出てきます。問題が起こる前に、早い段階で就業規則を整えておくことが、将来の経営の安定につながります。
当法人では、従業員10人未満の事業所にも、就業規則の作成を強くおすすめしています。 それには、次のような理由があります。

就業規則がもたらす10のメリット

  • ①労使トラブルの防止
    「そんなつもりじゃなかった」「言った・言わないでもめている」——。労使トラブルの多くは、使用者と従業員の認識のズレから生じます。就業規則でルールを明確にしておくことで、誤解を未然に防ぎ、無用なトラブルを回避することができます。
  • ②迅速な問題解決
    万が一トラブルが発生した場合、その場の感情や主張に流されると、問題が長期化し、会社全体に悪影響を及ぼすこともあります。 就業規則があれば、「会社としての基準」が明確になるため、対立ではなく、納得感のある解決が可能になります。
  • ③会社の法的保護
    「就業規則がなかったために、会社が不利になった」—— そんなケースは決して珍しくありません。適正な規定を設け、それを適切に運用することで、裁判などの事態になった場合でも、会社を法的リスクから守る盾となります。
  • ④従業員の安心感向上
    ルールが曖昧だと、従業員は「この職場でどう振る舞うべきか」が分からず、不安を感じることがあります。明確な規則があれば、公平な運営が保証され、「この会社なら安心して働ける」と感じられる環境を作ることができます。
  • ⑤職場秩序の維持
    身だしなみや言葉遣い、SNSの使用ルールなど、会社として求めるマナーが曖昧だと、働く環境にも影響を及ぼします。服務規程を明確に定めることで、個々の意識が統一され、気持ちよく働ける職場を維持することができます。
  • ⑥経営理念の浸透
    会社の方針や価値観が従業員にしっかりと伝わっているでしょうか? 就業規則に経営理念を明記することで、従業員との価値観の共有が進み、組織としての方向性がブレなくなります。 経営者の思いが、会社全体に浸透するきっかけになります。
  • ⑦人材採用・定着の促進
    「この会社で働きたい」と思われる職場にするためには、働く環境の明確なルールが不可欠です。整備された就業規則は、求職者に安心感を与え、「ここなら長く働けそうだ」と思える職場づくりにつながります。
  • ⑧労務コストの適正化
    労働時間が曖昧なままだと、残業代の計算ミスや、人員配置の非効率が生じることも。就業規則で労働時間の管理を明確にすることで、労務コストの適正化が可能になります。
  • ⑨コンプライアンスの強化
    労働法は頻繁に改正され、企業には最新のルールに対応することが求められます。定期的に就業規則を見直し、適切な運用を行うことで、法令違反のリスクを防ぎ、企業の信用を守ることができます。
  • ⑩事業承継・M&Aへの対応
    会社を次の世代に引き継ぐとき、あるいはM&Aを検討するとき、就業規則が整備されているかどうかは重要な判断材料となります。明確な規則があれば、事業承継の際の混乱を防ぎ、スムーズな移行を実現することができます。

当法人では、外国人従業員が在籍する企業向けに、英語版の就業規則作成にも対応 しております。グローバルな職場環境に適したルールづくりも、お気軽にご相談ください。

良い就業規則とは(1)

就業規則は、会社の基本ルールを定める大切なもの。ただ、「作れば終わり」ではありません。法律に合っていることはもちろん、会社の実情に合った使いやすいものにすることが重要です。

では、「良い就業規則」とはどのようなものなのでしょうか? 押さえておくべき3つのポイントをご紹介します。


①法律に合っていて、実際に使える内容であること
就業規則は、憲法・民法・労働法などの法律にしっかりと準拠していることが大前提です。特に、給料の決まり、懲戒処分、休職・退職のルール、競業避止(退職後の同業他社への転職制限)などは、法律違反がないか慎重にチェックする必要があります。
「知らない間に違法な規定を作ってしまっていた…」なんてことがあれば、トラブルが発生した際、会社の立場は非常に不利になります。適切なルールを定めることで、無用な争いを防ぎ、企業のリスクを最小限に抑えることができます。
②経営者も従業員も理解できる内容であること
どんなに立派な規則でも、経営者が内容を理解していなければ、適切に運用することはできません。AIやひな型を活用する場合でも、専門家のアドバイスを受けながら作成し、「自社にとって本当に適切な内容」かどうかを考えることが重要です。
また、従業員にとっても「分かりやすさ」は欠かせません。業種や規模、将来の目標に合わせた内容にすることで、従業員が自分ごととしてルールを理解し、納得感を持って働ける環境が整います。
③時代の変化に対応できる内容であること
働き方が多様化する今、就業規則も「今の時代に合ったルール」になっているかどうかが問われています。
例えば、
在宅勤務や時差出勤 など、柔軟な働き方への対応
ハラスメント防止や個人情報管理 など、職場環境の安全確保
災害・感染症対策 など、緊急時に備えた対応
こうしたポイントを盛り込むことで、企業としての信頼性を高め、時代に合った職場環境を整えることができます。
「とりあえず作った」だけの就業規則では、いざという時に役に立たないことも。会社の成長とともに見直しながら、実際に機能する就業規則を整えていくことが大切です。良い就業規則は、会社と従業員の未来を守るための土台となります。 ぜひ、今のルールが会社に合っているか、一度見直してみてはいかがでしょうか。

良い就業規則とは(2)~働きやすい職場のために

会社は、経営者だけのものではありません。そこで働くすべての人が安心して力を発揮できる環境があってこそ、企業は成長し、継続的に発展していきます。

「この会社で働き続けたい」と思える職場にするためには、単に法律を守るだけではなく、実際に機能するルールが必要です。では、どのような就業規則が「働きやすい職場づくり」に役立つのでしょうか?

①多様な人材が活躍できる環境づくり
会社には、年齢も背景も異なる多様な人々が働いています。
障がいのある方、外国籍の社員、育児や介護をしながら働く人——。それぞれの状況に配慮したルールがなければ、個々の能力を十分に発揮することができません。例えば、フレックスタイム制度の導入、休暇制度の柔軟化、多言語対応のルール整備など、「誰もが働きやすい職場」をつくるための仕組みを就業規則に反映させることが重要です。

②人材育成のための仕組みづくり
社員が成長できる会社は、自然と企業の力も強くなります。しかし、そのためには「努力次第で成長できる」仕組みが明確でなければなりません。
公平な評価制度や、キャリアアップにつながる研修制度を整えることで、社員のモチベーションを維持し、能力を引き出すことができます。「努力が正当に評価される環境」があれば、社員は「この会社で成長したい」と思い、長く働き続けることにつながります。

③社員の声を活かす仕組みづくり
会社が一方的にルールを決めるだけでは、従業員の不満は蓄積していきます。 だからこそ、「話し合う場」が必要です。定期的なミーティングや、相談窓口の設置をルール化することで、社員の声を経営に反映しやすくなります。また、会社の成長に合わせて就業規則を定期的に見直し、「実情に合ったルール」として機能させることが大切です。
就業規則は、単なるルールブックではありません。会社の文化をつくり、社員がやりがいを持って働ける環境を整える「実践的な道具」です。
せっかく整えた規則が、「形だけ」で終わってしまわないように。会社の未来を見据え、実際に活用される就業規則をつくることが、働きやすい職場づくりの第一歩となります。

「人を大切にする経営」理念に基づく就業規則(1)

近年、「人を大切にする経営」を掲げる企業が増えています。しかし、その理念をどのように実現するかが問われる時代でもあります。
どれだけ素晴らしい経営方針を掲げても、実際の職場環境や制度が伴っていなければ、社員にとってはただのスローガンに過ぎません。そこで重要になるのが、就業規則の役割です。
就業規則は、単なるルールブックではなく、会社の理念を「形」にし、実際に機能させるための道具です。当法人では、以下の4つの視点を大切にしながら、企業の実情に合わせた就業規則の策定を支援しています。
①会社の理念を明確に示す
企業が「どのような価値観のもとで運営されるのか」は、社員にとって大きな指針となります。だからこそ、就業規則の冒頭に「人を大切にする」という基本理念を明記することが重要です。
「社員一人ひとりの成長と幸せが、会社の発展につながる」という考え方を言語化し、全社で共有することで、組織全体の方向性が揃い、日々の業務の判断基準としても機能します。
②働きやすい制度をつくる
社員が安心して働ける環境を整えることは、経営の安定にも直結します。
労働時間や休暇制度において、仕事と生活のバランスを重視することはもちろん、育児・介護との両立支援や、柔軟な勤務形態の導入など、社員のライフスタイルに配慮した制度を整備することが求められます。
社員が「ここでなら長く働ける」と思える環境があるかどうか。それが、人材の定着率や企業の成長に大きく影響するのです。
③成長を支援する仕組みをつくる
働くうえで「成長を実感できるかどうか」は、社員のモチベーションを左右します。
公平で納得感のある評価制度、教育研修の機会、キャリア形成を支援する仕組みを整えることで、社員は自ら学び、挑戦する意欲を持つことができます。
給与や昇進の基準も、「単に年功序列で決まるもの」ではなく、努力や成果が正当に評価される仕組みを作ることで、「この会社で頑張りたい」と思える職場環境につながります。
④会社・組織の発展に応じた一歩先への柔軟な修正
企業は、成長とともに変化します。組織の規模が大きくなれば、社員同士の関係性や目指すべき方向性も変わっていくもの。
だからこそ、就業規則も「一度作ったら終わり」ではなく、会社の発展に応じて柔軟に修正し続けることが重要です。 時代の変化、社員のニーズ、組織の目標に合わせて微調整を重ねながら、より良い職場環境を築いていくことが、持続的な成長につながります。
「形だけ」の規則ではなく、実際に活きるルールを
「人を大切にする経営」を掲げるだけでは、社員の働きやすさは実現しません。大切なのは、理念をどのように職場に落とし込み、実際に機能させるか。
そのための基盤となるのが、就業規則です。形だけのルールではなく、会社の発展と社員のやりがいを高める「実践的な道具」として活用することこそ、本当の意味での「人を大切にする経営」につながります。

「人を大切にする経営」理念に基づく就業規則(2)

「社員が安心して働ける環境をつくること」
これは、企業の成長にとって欠かせない要素のひとつです。
就業規則は、単に法律を守るためのものではなく、社員の健康や働きがいを守り、それによって会社全体が発展していくための指針でもあります。では、より良い職場づくりのために、どのような視点が重要になるのでしょうか?
①安全で健康的な職場づくり
社員の心と体の健康が守られてこそ、仕事への意欲やパフォーマンスも高まります。
そのためには、ハラスメント防止や労働安全衛生に関する具体的な対策を明文化し、安心して働ける環境を整えることが重要です。さらに、多様な価値観や働き方を認め合える職場文化を醸成することも、これからの時代には欠かせません。
社員一人ひとりが尊重され、自分らしく働ける環境を整えることが、会社全体の生産性向上にもつながります。
②社員の声を活かす仕組み
会社が成長していくためには、経営者だけの視点ではなく、現場の声を活かすことが欠かせません。
困ったことを気軽に相談できる窓口の設置や、職場をより良くするためのアイデアを提案できる仕組みがあることで、社員が「会社に関われている」という実感を持てるようになります。
一方通行の指示ではなく、社員と会社が双方向にコミュニケーションを取りながら発展していくことが、「人を大切にする経営」の本質です。
③指導・育成を重視した規律作り
問題が起きたとき、すぐに罰則を適用するのではなく、まずは「なぜそうなったのか」を理解し、改善へと導くことが重要です。
人は、失敗から学び、成長するもの。就業規則の中でも、単なる「罰則規定」ではなく、指導・育成を前提としたルールを定めることで、社員がより主体的に働ける環境を整えられます。
規律を守ることはもちろん大切ですが、同時に、会社として「成長を支援する」という姿勢を示すことも、働きやすい職場づくりには欠かせません。

就業規則は「会社の未来をつくるツール」
「人を大切にする経営」のための就業規則は、法律を守るだけのものではありません。
社員の幸せと成長を支援し、それが結果として会社の発展につながる——そんな考え方を「形」にするものです。

だからこそ、就業規則は単なるルールブックではなく、「会社と社員が共に成長するための道しるべ」として活用することが大切です。

ページトップ