EMBA学習日記【16】

2021年12月10(金)

この日は、リレー中小企業論⑦と実践経営学⑧講義を受けました。久しぶりに有楽町で、ゼミの仲間たちと一緒に直接講義を受けることができました。

  • 第1講義は、勝本光久先生の「中小企業施策・活用」

勝本先生は経済産業省関東経済産業局産業部長の職に就いておられる現役の公務員で、中小企業の支援・振興施策に長年にわたり関わってこられました。また、社会保険労務士や中小企業診断士などの資格もお持ちで、まさに中小企業分野の一級の専門家といえます。ゼミ生の為に、休暇をとって登壇していただいたとのこと。

先生は、中小企業の可能性について、
①地域経済の維持発展に不可欠な存在
②雇用やイノベーションの創出
③大手に真似のできないこだわりの商品やサービスの担い手等の重要な役割を持つ
という点を指摘されていました。

一方で、経営者の高齢化や人手不足、人口減少による内需の縮小と過疎化などの課題に直面している点を踏まえて、そんな中でも元気に業容を拡大している好例として9社を紹介されました。
・地域の他業種や外国の商社と念入りにニーズ調査を行い、商品を「共創」している会社
・大企業が手を出さないが社会的に求められている高付加価値商品を制作している会社
など。そして、日本の中小企業の潜在的な可能性は大きいと激励されました。

次に、コロナ禍にあっても、補助金や専門家派遣などの中小企業施策を活用して事業の再構築や地域貢献を進めている企業9社を紹介されました。中小企業施策の内容や趣旨、活用・申請のポイント等について解説し、積極的に活用してほしいと呼びかけておられました。

一般にはなじみが薄い中小施策ですが、お客さんの課題解決に役立てることができないか、さらに研究したいと思いました。

 

  • 第2講義は、渡辺良機先生の「値決めの経営」

渡辺良機先生が顧問をされている株式会社東海バネ工業は、大量生産ではなく少量多品種のバネの製作を行う企業です。

渡辺先生は、先代が行ってきた少量・多品種の事業モデルは、手間がかかる上に薄利で、時に値引きも求められることから懐疑的だったそうです。

そんな先生の転機はヨーロッパ企業視察だったそうです。

「悪い条件で契約したら会社がつぶれる。条件が合わなければ契約しない。」と言うドイツ企業から「値決め」の重要性を学び、製造現場で女性たちが多く高い賃金で働いているフランスの企業からは「賃金が高い理由は、皆がやりたがらない仕事だからだ」との説明を受けたそうです。

それらは日本でも目指すべきだと考え、先生は、先代からの少量・多品種生産のやり方を引き継ぎつつも、価格を決定できるだけの高い商品品質とサービスを実現し、賃金を引き上げ、労働環境を改善しようと努力されたそうです。

早くからコンピューターシステムによる顧客管理を進め、注文履歴をデータで管理して、何年前の注文であっても再現できる。納期もほぼ100%守れるようになっているとのこと。ネジならどんなものでも1つから作る。日常生活から宇宙で必要なものまで、まさに何でも作ると言います。

そして、企業視察で学んだ通り、適正利益を確保する価格設定を貫き、得られた利益は、社員の賃金の引き上げの原資や福利厚生、難易度の高い注文を高い技術で実現する社員のための最先端の設備等の投資に使われ、会社の発展の基礎となっていきます。

渡邉先生は言います。「社員の給与を上げれば会社は良くなる。業績が上がれば上げたいという経営者がいるが、「鶏が先か卵が先か」ではない。数千円でもあげることが大切。」と強調されました。

先生のお話は、柔らかい語り口ながら固い信念が溢れ出るもので、示された多くの事例に驚きながらき聞き入りました。今後も深く研究したい企業です。

 

 

 

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