2021年6月11日(金)
- 第5日目
〜1時限目〜 西浦道明先生の「中小事業承継と後継者」
西浦先生は、公認会計士、税理士で経営コンサルタント、アタックスグループの代表をされています。近著に『高収益企業の”池クジラ”戦略』があります。
講義では、経営者として何を目指すべきか、詳細に事例を交えて教示してくださいました。
- 会社の業績も重要だが、社員の働きがいと両立させることが肝心である。会社の業績といっても長期利益を追求すべきで、短期利益ばかりに目を奪われると社員が疲弊し業績の安定は得られない。
- 働きがいとは、使命感、誇り、幸せ、感謝を満たすような働きかたである。社内で愛されて、世の中のお役に立つ、世の中から必要とされる、ありがとうと感謝される状態を意識的に作り出すべきで、それには経営理念の果たす役割も重要である。
さらに、中小企業は、限られた市場で大きな役割を果たす”池クジラ”を目指せば、高収益と働きがいを両立できる──。充実したお話でした。
その後、先生から提示された、後継者が抱える問題事例について、参加者がグループに分かれて話し合い、現状把握、課題、解決策の検討を行い、結果を発表しました。
〜2時限目〜 井上修先生の「いい会社をつくりましょう」
井上先生は、伊那食品工業の代表取締役会長で、「かんてんぱぱ」で知られる超優良企業として名高い同社の成り立ちや、現状について詳しくお話いただきました。
- 創業当時、寒天は相場商品といわれていた。
- しかし、相場商品である限り将来の事業発展は望めないのではないか。
──そこで、世界に原料を求め、安定供給体制を整えることで、発展への道筋を描いたそうです。
- 「相場商品ではありません」と宣言したことで、業界からは追放されてしまった。
- その結果、否応にも自社での研究開発の強化を迫られることになった。
現在の伊那食品工業、そしてバラエティ豊かな商品開発力は、こうして生まれたそうです。
また、
- 社員の1割を、「10年先」の仕事を生み出す開発部門に投入。
- 「社会に必要とされる商品」を続々と開発し続けることにより、斜陽産業と見なされがちな分野にあっても発展は続けられている。
- 労働環境を改善に取り組み、新設備を次々に導入した。
- 新入社員からの年次有給休暇等を取りづらい・・・などの声にも真剣に声を傾ける。社長自らが現場に足を運び、一緒に打開策を検討したこともある。
- 汎用性のない設備は社内で開発する。
──等々、経営の戦略的な考え方から具体的な課題解決の方法まで、まさしく縦横に語られる濃密な講義でした。
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