EMBA学習日記【20】

2022年2月11日(金)

この日はリレー中小企業経営論⑨&実践経営学⑩、実践経営学の講義はリモートでの実施となりました。

 

  • 第1講義は、リレー中小企業論⑨:井上善海先生の「中小企業の経営革新」

井上先生による講義は、新しいビジネスを生みだす(=経営革新)ための着眼点や思考方法について、多くの事例を交えながら展開されました。

経営革新の達成に向け、鍵となる考え方として、①視点を変えてみる ②「オンリーワン」を狙う着眼点 ③経営環境に適応する ④大企業が行っているビジネスの周辺に必ずあるニッチな市場を狙う ⑤顧客不満足(不便、不安、不要)の解消を考える ⑥答え(どうなりたいか)を設定し、式(どうすればよいか)を考える――などを挙げられていました。

加えて、常に問題意識を持つ姿勢を、『「できるか、できないか」ではなく、「思いつくか、思いつかないか」こそ重要』と表現されていました。経営革新といっても、自社単独ではなく「他社(者)の力」の活用も視野に入れて良いとも。

また、「最も正しく予測することは、未来をつくること」、「失敗してもやり方を変えながらやり続ける」、「外れ値を調べる。平均は意味がない」など多様な視点を紹介されていました。

コンサルとして、多くの企業を支援されてきた経験をもとに、重要事項をぐっと浮き上がらせる斬新で説得力のある講義内容でした。

 

  • 第2講義は、実践経営学⑩島根電工 荒木恭司先生

島根電工代表取締役社長をされている荒木先生は、取締役時代、ゼネコンや公共から受注する大規模工事中心の経営に限界を感じたことを契機に、小規模工事部隊「お助け隊」を発足させました。「お助け隊」は、地域住民の日常の困りごとを直接解決するチームです。

以来、「建設業ではなくサービス業」をモットーに、地域密着の地道な事業活動を展開。それにより地域住民に支持され、小口工事の売り上げは70億円(全体売り上げの40%)にまで伸びています。

「安くてよいもの」というのは、誰かの犠牲で成り立っているのではないか。「安くてよいもの」をつくる人の生活はどうなっているのか。

先生はそう問い、また、「非正規雇用の増大で、給与を固定費でなく変動費として扱い、都合が悪くなれば雇用の解除(解雇・雇止め)をすることで、技術が消失している」とも指摘し、経営における株主第一主義を強く否定されました。

 

現に、島根電工では、株主第一主義ではなく、「5方よし」経営が進められています。

  • パートの希望者全員を正社員にする。
  • 機器の導入等により労働時間の短縮を図りつつ、遠距離の現場に従事することで生じる長時間労働対策として、半径5キロ~10キロ以内に営業所をつくる。
  • 月・水・金の週3日はノー残業デーにして、午後5時以降は許可なく仕事ができない仕組みを徹底する。
  • 有意義なノー残業デーにしてほしいと、月末の金曜日には全社員使いきりの4000円が支給される。
  • 「挨拶、片付け、誠実さ」を基本とした、サービス業としての社員教育も実施。それを通じて全社員の「ブランド社員」化の促進、その先に顧客の期待を超える感動サービス提供をめざす

これらはその取組の一部です。そのほかにも、株主対策、若者の定着対策など、貴重なお話を伺うことができました。関心のある方には、先生の著書『不思議な会社に不思議なんてない(あさ出版)』をお勧めします。

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