EMBA学習日記【15】

2021年11月12日・13日

11月12日(金)、13日(土)の二日で、塾生10人、担当教員2人で東北仙台、郡山の企業視察を行いました。学んだ企業は、次の通りです。

  • 隂山建設株式会社
  • 有限会社フタバタクシー
  • 株式会社アップルファーム(六丁目農園)
  • 有限会社総美(ビューティーアトリエグループ)
  • 秋保おはぎ本舗さいち

すべてが人を大切にする経営を実践し地域で信頼される企業でした。今回はそのうち隂山建設株式会社を取り上げます。

隂山建設株式会社からは、社員持ち株会、高年齢者が輝く会社、社員育英会に象徴されるような社員への福利厚生制度や利益還元、「沖縄マラソンツアー」を実現した社員の声を見逃さない力、社会貢献のレベルの高さと地域を巻き込む関係性の見事さ、そしてこれらの根底になると思われる隂山社長の無私の姿勢と地域への信頼や感謝など、多くのことを学びました。

その中で、隂山社長が話された次の2点について感想を述べることにしたい。

一点目は、「戦略・ビジョンが先にあった訳ではなく経営の中で直面した課題に全力を挙げてきたこと。」、二点目は、「経営危機に陥ったときに地域の金融機関や企業に助けられた時の感謝の気持ちを持続したことが、結果として現在の隂山建設を成長させた。」について。

まず、一点目については、地域や人を大切にするという方向性を大事にしながら、社員や地域の状況を踏まえて実践的課題を解決してきたことと理解した。経営課題の解決の点では、IoTプロジェクトの取り組みは現在進行形である。現在市販されている勤怠管理用等のアプリは、おしなべて高齢者には使いづらく、普及への壁になっている。隂山建設は、初めから完成形を社員に押し付けるのではなく、まずドローンを飛ばすことからはじめ、現場を「見える化」し、その到達の上に次の課題に進んでいく手法をとっている。これは、主体である社員の抵抗感や取り残された感を少なく、社員の認識向上とともに課題を前に進めようとの方針からだ。

また、目的が「お客の為に」であるので、顧客からの感謝の声や反応が社員の自己肯定感を高め、課題前進のエネルギーとなっている。社員や顧客本意で検討することが課題解決の王道であることを示す好事例であると思った。

隂山社長は、開発中の総合的な現場管理アプリ「ビルモアプラス」を安価で提供できるようにしたいと話された。建設業界の工程管理等の次世代スタンダードとして、課題解決に大いに役立つのではと期待される。

二点目は、地域への強い思いである。ホームページのトップには「ずっと住みたくなるふるさとを目指して」とあり、経営理念のトップにも「地域に必要とされる企業を目指し、すべてはお客様のために」と、掲げられている。地域の中で、顧客や社員、協力業者の幸福を実現しようとする経営者の思いが、その意図を理解した人の共感を呼び支持となり、様々な取り組みを支える基盤をつくりあげていったのだと思う。IT企業の協力で設立され、IoT開発の中心となっている「ビルディングサポート株式会社」の設立も長年培った信頼関係の賜物だと思う。

地域への思いは、今では行政や国の枠を超えて被災地支援やベトナム支援へと広がり、感謝と幸福、人への信頼感などかけがえのない大切なことを伝えている。

なお、10月以降、鹿児島市(東条設計株式会社、株式会社ラグーナ出版)、静岡県浜松市(コーケン工業株式会社、静岡県セイブ自動車学校、エネジン株式会社、NPO法人六星、NPO法人トータルケアセンター(グレースガーデン)、株式会社長坂養蜂場、及び伊那食品工業(長野県伊那市)を訪問させていただき、丁寧にご講演をお聞きしました。すべてに圧倒される思いで今回の視察を終えました。

コメント

PAGE TOP