EMBA学習日記【11】

2021年9月17日(金)
  • リレー中小企業論⑤

当日講義は8月に続いてオンラインにより行われました。

 

  • 第1講義:鎌田恭幸先生

第1講義は鎌田先生の「いい会社への投資」でした。

先生は、鎌倉投信株式会社の代表取締役社長をされています。金融機関の投資部門を経て、「短期的な利益追求に奔走する金融ではなく、本当に社会に貢献する金融」を目指して、思いを共有する人と鎌倉投信を設立されました。

同社の投資先は、独自の基準で選んだ、「いい会社」のみ。
その基準とは、会社に関わる全ての人との調和を図りながら成長する会社。

すなわち、

  • 社員とその家族、取引先、顧客・消費者、地域社会、自然・環境、株主等を大切にし、持続的で豊かな社会を醸成できる会社
  • 社会的課題を解決しようとする会社

──などです。
売買を前提にせず、「いい会社」であり続ける限り投資し続けるスタイル貫いておられます。

先生は、利益最優先の投資の在り方に疑問を抱き、「いい会社」への長期投資、社会的に役立つものへの投資を目指したものの、それは当時の投資常識とは異なり、同業者からは「ビジネスとして成立しない」などの批判もあったそうです。

しかし、東日本大震災大震災では、国内の株価が20%──100兆円規模で下落する中、同社では解約件数は0。それどころか新たな顧客が増えていったそうです。鎌倉投信は、その方針に賛同して投資してくれた顧客ばかりだからです。

今では、ESG投資やSDGSが言われるようになった。「常識からは新しい価値は生まれない」「誰もが挑戦していない時期、内容から価値が生まれる」

と、現状の常識を疑い新たな挑戦をすることの重要性を強調されました。
加えて、コロナで見えてきた課題、これからの社会を開く企業リーダー像など縦横に語られました。

  • 第2講義:樋口友夫先生

樋口先生は明治8年創業の特殊鋼、ステンレス、シリコロイの素材販売、加工販売を手掛ける大阪の老舗企業「天彦(てんひこ)産業の代表取締役。

社員第一主義を貫き、大家族的な「お互い様風土」の醸成を重視する経営で有名です。

  • 社内に組織横断的な「きらめき委員会」「ときめき委員会」「すっきり委員会」「はつらつ委員会」があり、社員全員がどれか1つ以上に参加。
  • 委員会と業務は企業活動として同等の価値を持つものとして、業務時間内で行われている。
  • 委員会の委員長は権限が与えられ、上司であっても従わなければならないので、若い人の自由な発想も生きる。

また、

  • 子供の入学式に参加するために休んだ社員が意欲的に仕事をしているのを見て、学校行事の時は最優先に休めるようにした。
  • それを実現するために、業務に差し支えないようお互いに支えあう風土がうまれた。また有給休暇の取得が進むにつれて、社員が工夫し、連動して業績が伸びていった。

──『社員第一を目指すことで業績が上がり、一層社員に還元できる。』
先生のお話は、好循環のメカニズムが浮かび上がってくるようにリアルでした。

40人の企業としては圧倒的といえる福利厚生制度を有する同社ですが、先生は、制度だけ真似をしてもいけない。制度を生かすお互い様の風土づくりこそ重要であると強調されていました。

事実、天彦産業では、社員がお互いにとても仲が良く、会社の海外旅行は家族も参加できることから、新婚旅行を兼ねて新妻と参加した社員もいるとのこと。週明けからはまた楽しい時間が過ごせると、日曜日の夜にワクワクして眠れないなんていう社員も。
40人の社員のうち9組が社内結婚というのも驚きでした。

また、常に会社には世の中の悪い影響が入ってくる。こうした風土を守るには、幸せな自分づくりに育み、いつもお互いを大切にする家族のような経営を守っていく努力を要する──という話されていました。

落語家でもある樋口先生の話は、奥が深いのに分かりやすく、かつ面白く、もっと聞きたいと思ってしまいました。

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